インタビュー「浅野忠信と、東京」

ー俳優・浅野忠信にとっての「東京」、「仕事」とは。

東京にはいつから住んでいますか?

浅野:21歳くらいの頃に流れるように東京に出てきて、最初は「若林」という世田谷線沿いの駅に住んでいました。下北沢が好きだったので当時はよく下北沢界隈で遊んでましたね。

当時の東京への印象はどうでしたか?

浅野:地元が横浜ですぐに帰れる距離だったから、当時は特に何も考えずに東京で暮らしてたかな。当時僕の兄がBARで働いていて頻繁にその店に遊びに行っていたんだけど、そこに行くとおもしろくて魅力的な人たちが毎回いたので、それがいい刺激になってました。

sh_asanotadanobu03

東京で好きな街があれば教えて下さい。

浅野:世田谷区にずっと住んでいて、世田谷区はもちろん好きなんだけど、強いて選ぶとすると「六本木」が好きかもしれない。夜遊びの街てイメージあるけど、そういう六本木じゃなくて、六本木に漂っている独特の空気感や雰囲気が好きですね。子供の頃に家族でよく六本木に来ていたんだけど、当時WAVEというレコード屋があって、そこの雰囲気がすごく好きで。そういう当時を懐かしんだりできるから六本木が好きなのかもしれない。

今と昔、東京はどこか変わりましたか?

浅野:もう長く東京に住んでいるから変化に慣れていたり、気付かないことが多いかもしれない。駅の周りの変化が一番大きいかな。古臭いラーメン屋があった場所に行こうと思ったら、駅ビルや商業施設が出来てたりしてて。時代が変われば街も変わっていくものだと思うけど、どこか寂しく感じる部分も多いですよね。

sh_asanotadanobu04

−俳優になったきっかけを教えてください。

浅野:14歳の頃に、父親がマネージャー業をしていて、目立ちたがり屋だった僕に「金八先生」のオーディションを受けるチャンスを与えてくれたのがきっかけですね。親の紹介でオーディションに来たとは言わず、その辺でスカウトされたと嘘をつけと言われて。(笑)で、その通りにしたら受かって、それが始まりです。

−いまの仕事のやりがいは何ですか?

浅野:役柄には得意不得意もあって、「これ好きだ!いける役だ!」と思っている役をもらった時に、現場で僕自身がノッてるのを周りのスタッフや共演者が分かった時はやっぱりこの瞬間だよなって気持ちになります。現場にいる目の前の人たちが喜んでくれないことには、お客さんも喜んではくれない。自分の中での「この瞬間」が欲しくて今の仕事を続けてると言っても過言じゃないですね。

sh_asanotadanobu02

−挫折を感じた瞬間を教えて下さい。

浅野:挫折はそれこそいっぱいあって、未だに感じることも多い。自分の限界だったり色々と積み重なったモノをその都度感じることがあって、そういう意味では映画の撮影一本一本で感じてることになるかも知れないですね。作品のこういうことが起こりうるんだな、とか、まだ自分はこういうことが出来ないとか、逆に言えば僕自身これが得意ジャンルじゃないんだ、ってことがいっぱいあったりして。それらに対して立ち向かったつもりでも出来ない時はやっぱり挫折を感じます。

−俳優を目指している人に一言お願いします。

浅野:俳優を目指す人はいっぱいいると思うし、僕自身も色んな人にアドバイスをくれと言われるけど。正直に言うと「みんなやめた方がいいんじゃない」って思いますね。(笑)でも若い人はいいと思う。40歳近い人とか、30歳過ぎてる人には僕の役を奪われる可能性があるし、仕事がなくなったら嫌だから出来れば、やめてくれって思ってる。(笑)若い人たちは希望に満ち溢れてると思うし、逆にもっと希望に満ち溢れて欲しいと思ってるからガツガツ来て欲しい。ある時に20代の俳優を目指す子たちと話す機会があったんだけど、みんな「バイトをやりながら色々やってます」って言ってて。僕は別に演技について教えることはないんだけど、「バイトなんて辞めちゃいなよ!もう辞めて明日からオーディション受けまくって役者だけやったほうがいいよ!」ってアドバイスしたら、みんな次の日にバイトを辞めたみたいで。その行動力はホントに凄いと思いましたよ。でも、どうせやるからにはそのくらいの覚悟や意気込みでやるくらいの方が絶対いい。

sh_asanotadanobu05

浅野忠信(あさのただのぶ)|88年TVドラマ「3年B組金八先生Ⅲ」で俳優デビュー。国内外で活躍を続け国内では「バタアシ金魚」で映画デビューを果たし、マーベルコミック原作の「マイティ・ソー」でハリウッドに進出。俳優だけにとどまらず、絵画やイラストのドローイング、ファッションデザインを始め、DJ、バンド活動など多岐に活動の幅を広げている。2014年1月1日には浅野忠信がボーカルを務めるバンドSODA!!からファーストアルバム「抱きしめたい!」をリリース。